IT業界やシステム会社が提供するアプリやソフトウェアの開発費用は、どうやって決められているのでしょうか?
依頼者にとっては、見積りが提示された際、その裏にある実態が見えにくいものです。
適正な価格なのか、それとも過剰な料金を請求されているのか、不安に思うこともあるでしょう。
本記事では、IT業界の見積りの実態や、費用がどのように決定されるのか、その裏に潜む「闇」に迫ります。
見積りのカラクリを知ることで、より透明性の高い取引を目指しましょう。
結論から申し上げますと、アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りは適当です。
IT業界やシステム会社のアプリやソフトの開発費用の決め方や見積りの実態を知るべき
開発費用の見積りはしばしば不透明であり、依頼者にとってその根拠が不明瞭なことが多いです。
プロジェクトの内容や規模に応じて適正な費用が必要ですが、時には不必要な項目が追加されることや、実際の工数よりも高額な見積りが提示されるケースもあります。
見積りの実態を理解することで、依頼者が適切な判断を下し、無駄なコストを削減するための重要なポイントが見えてきます。
透明性のある交渉と見積りのチェックが、成功するプロジェクトの鍵となるでしょう。
アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りの実態を知る前の前提知識
システム開発は決まった工程(フェーズ)によって進行されます。
手法は様々あり、時代と共に進化したり、主流なモデルも変わっていきますが、おそらく現在でも多いケースでみていきます。
もちろん例外はありますし、会社やプロジェクトによって若干異なることがありますが、大体は一緒です。
システム開発のフェーズ(作業の種類)
1.要件定義
2.外部設計
3.内部設計
4.プログラミング
5.単体テスト
6.結合テスト
7.総合テスト
8.導入・移行
9.保守
10.プロジェクト管理(進捗や品質を管理)
経験者以外はよくわからないですよね(笑)
わからなくて大丈夫です。
よくわからないけど、なんだかやることがたくさんあるんだな…とだけ覚えておいてください。
アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りの考え方
では実際に「このシステムを作るのにいくらかかるのか」というのはどうやって決めるのでしょうか?
小売りと違っていくらで仕入れたモノをいくらで売る、というわけではありません。
ソフトウェアには「仕入れ」がありません。
”無”の状態からエンジニアが書き上げるので、仕入れなんて概念はありません。
システムは開発することによって作成されるので、システム開発にかかるお金は「どれくらいの作業時間がかかるか」で算出されます。
「どれくらいの作業時間がかかるか」を「工数」と言い、「1人で作業した場合に何日かかるか」という意味の「人日」という単位で表します。
工数が4人日の作業は1人でやると4日、2人でやると2日かかるということです。
同じ考え方で「人月」や「人時」もありますが、「基本的には1人で作業するとどれくらいかかるのか」で費用が算出されます。
また、「単金」と呼ばれる概念があります。
例えば、要件定義は1人日6万円、テストは1人日4万円のように作業毎に金額が設定されています。
会社やプロジェクトのルールによって設定金額は異なり、ケースは色々ありますが、大きな考え方は一緒です。
この2つの要素からシステム開発費を算出します。
システムの金額=「工数」×「単金」
ではこれらを踏まえて「適当」である根拠をお話します。
アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りの考え方の実態:工数が適当
「工数」は作業時間であると前述しました。
でもよくよく考えると作業時間で見積って理不尽だと思いませんか?
作業が早い人と遅い人、スキルがある人とない人など、人によって作業時間って変わりますよね。
弁護士費用や引っ越し費用等、作業時間と人数に比例して費用が増えるものはほかにもありますが、システム開発はかかる時間が膨大なので、差が顕著に表れます。
そうならないために、過去の実績からこれくらいの機能ならこれくらいの工数、と会社やプロジェクト毎にルールが定められていることが多いです。もうこの時点で適当ですよね。
そもそも、どれくらいかかるかなんてハッキリ言って全然わかりません。
細かい仕様を決めて、どうやってプログラミングするかまでを考えれば「これくらいかな?」というのは想像できます。
受注して工程を進めていくことでやっと可能なことですが、まず受注のために見積を出すところからはじめるのでお客さんからやりたいことをさらっと聞いただけの薄っぺらい情報だけで見積をすることになります。
実際にプログラミングするのはお客様から受注した会社ではなく、下請け企業が多いです。
※以下、参考記事
プログラミングをしない、できない人たちが見積もりをすることも多いです。
なおさらどれくらいかかるかなんて全然わかりません。
そりゃ、適当にもなりますよね。
適当にやるしかないんです。
アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りの考え方の実態:単価が適当
要件定義は1人日6万円、テストは1人日4万円のように作業毎に金額が設定されています。
SESのような人貸しだと、このエンジニアを一か月貸すのに100万円というパターンもあります。
どちらにせよ金額は会社やプロジェクトのルールで決まっています。
では、この設定金額はどうやって決めるのでしょう?
答えは「適当」です。
適当とは言いつつも、人件費の原価から利益を載せた金額を設定されていることがほとんどだと思いますが、この金額も会社やプロジェクトによってはだいぶ差があります。
大手であればあるほど、人件費や固定費が高いので必然的に単金も高くなります。
多重下請け構造の一番上の会社は1人のエンジニア1か月換算で150万~300万くらいとったりしますが、末端の会社は4,50万でやっているところもあります。
下請け会社のエンジニアの給料が少ない理由でもありますね。
ということで、完全に言い値です。
よく弁護士相談で30分5000円等ありますが、せいぜい1時間とか2時間程度ですよね。
システム開発の工数は弁護士相談時間の何百倍、何千倍も時間はかかりますので、おそろしい金額になることは想像できると思います。
アプリやソフトの開発費用の決め方や見積りは適当であることを理解しよう
ここまでで、システムを作るための費用がいかに適当であり、高額であるかをわかっていただけたでしょうか?
適当であるがゆえに、IT化やシステム刷新を考えている企業様は注意が必要です。
最適なサービスとそれに見合った価格の業者を探すのは簡単なことではありませんが、何もわからないからといって業者に丸投げすることほど危険なことはありません。
効率化やコストカットのためのIT導入が逆に首を絞めることになる可能性もあります。
IT導入はあくまでも手段で、ITを導入することによって結果的に利益向上させることが目的のはずです。
莫大な投資をして導入したは良いけど、使う人が使いこなせなかったり、いつまでたっても回収に至らなかったりと失敗するケースも少なくありません。
ゆえに見積もり根拠は詳細まで把握するようにすることが大切です。
まとめ
これからIT化やシステム刷新を考えている企業の担当者様へアドバイスです。
見積を業者に依頼すると、予算感を聞かれることがありますが、あえて伝えないことも視野に入れておいた方が良いです。
予算を提示すると予算に合わせた金額で設定されることがあります。
私も業者側の立場からすると、予算感のないお客様の費用見積もりは困りました。
いくらに設定すれば良いのか、検討がつかないからです。
その業者の本当の見積基準を知ることができます。
予算感を伝えずに複数の業者への見積をすると業者によってだいぶ差があることがわかると思います。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。