仕事ができるエンジニアほど、その能力が評価され、次々と難しいプロジェクトや追加の業務が降りかかることがあります。
しかし、その結果、報酬や評価が必ずしも比例せず、過度な負担を強いられることも少なくありません。
一方で、仕事ができない人は意外と負担が少なく、結果的に勝ち組と感じることも。
本記事では、「できるエンジニア」が直面する現実や、その末路について考察し、どのようにしてこの状況を打開できるかを探ります。
優秀であるがゆえに損をしていると感じる方は、ぜひ参考にしてください。
優秀なできるプログラマやエンジニア・SEは報われないし損をする?
以下の記事で「プログラマは技術力がなくてもできる」と説明しました。
ただし、スキルがすごくある人や要領がものすごく良い人も1,2割くらいはいます。
会社が成り立っているのはこの人たちのおかげなのですが、この人たちの報われなさは尋常ではありません。
以下の記事でも触れましたが、有能な人材はどんどんいなくなります。
優秀なできるプログラマやエンジニア・SEはどんな損をするのか
「できる人」は会社の中で、どのような扱いを受けてどういう日常を送っているのか、いくつかピックアップしてみます。
ここでいう「できる人」は「技術力がすごい人」だけではなく、「要領が良い人」も含まれます。
余談ですが、本当の意味で「できる人」は私は圧倒的に後者だと思っています。
今回はプログラマーとして「できる人」の場合でお話します。
難しいプログラムを担当させられる
あるシステムを作成するにあたって、プロジェクト全体で10個の機能を作成するとします。
難易度が高い機能が1つ、そこそこの難易度の機能が6つ、簡単な機能が3つだとします。
「できる人」はどれを担当すると思いますか??
もちろん「できる」のですから、難易度が高い機能を担当させられます。
毎日頭を抱えて、時には夜遅くまで作業をしたり、納期に間に合うように悪戦苦闘します。
その一方で、めちゃくちゃ簡単な機能を担当し、余裕で納期に間に合い、のほほんとしている人もいます。
また、めちゃくちゃ簡単なのに中々進捗はあがらず、残業をたくさんして残業代を稼ぎ、完成してもバグだらけという人もいます。
他の人が5日かかるものを自分が担当していたら3日で終わり、さらに質の良いものができるのに、現実は難易度の高いプログラムと向き合う日々。給料にほとんど差がないこともあります。理不尽ですよね。
「できない人」よりも給料が低いことがある
「できない人」は、できません。
ひとつひとつの作業に時間がかかり、その結果、納期に間に合わせるために残業します。
残業すると残業代が出ます。
残業しなくても問題のない「できる人」は残業代がほとんどもらえないので、「できない人」より給料の支給額が少ない場合もあるのです。
理不尽にもほどがありますよね。
他人の成果物のチェックもさせられる
前述のとおり、「できる人」は難易度の高い機能を担当させられます。
正直、それだけでいっぱいいっぱいです。
しかし、それだけじゃないのです。
人の成果物のチェック(レビュ)をする役割(レビューア)もすることが多いです。
レビューが滞ると、作業が進まずプロジェクト全体の進捗に影響がでるため、自分の作業はいったんストップして、人のレビューをすることもあります。
これが効率悪いんですよね。
優秀なリーダーのプロジェクトではこんなことにならず、上手く回してくれますが、そうではないこともたくさんあります。
早く終わらせたら、仕事が増える
「できる人」は作業も早いため、納期より前倒して終わることもあります。
そんなとき、どうなるのでしょう?暇になって遊べるのでしょうか?
そんなわけありません。
ほかの人の作業が回ってきます。
つまり、本来予定されていなかった作業が舞い込んできて、単純に作業量が増えます。
もちろん、給料があがるわけではありません。
理不尽ですよね。
周りからたくさん質問される
誰かの作業が詰まったり、フォローがほしいときは、「できる人」のところへ相談が殺到します。
すぐ答えられることなら良いですが、代わりに調べてあげたり、案を出してあげたりと「実質自分で作業しているのと変わらない」状況になったりもします。
頼られること自体は悪い気はしないという人がほとんどだとは思いますが、度が過ぎると進捗に影響が出てストレスが溜まります。
優秀なできるプログラマやエンジニア・SEが損をしながらも得られる対価
社内での立ち位置としては過ごしやすくはなるでしょう。
でも肝心の給料面は、できない人とそんなに大差があるわけではありません。
前述したとおり、残業代によっては月の支給額が逆に低いこともあります。
賞与査定は少しは多めかもしれませんが、努力に報われるほどの差はないことが多いです。
承認欲求が満たされることに幸福を感じる人にとっては、悪くはない立場だと思いますが、見合った「お金」はもらえません。
ただ大変なだけです。
損ばかりしている報われない優秀なできるプログラマやエンジニア・SEの末路
社内で「できる人」のポジションが確立してくると、次にまかせられるのは難易度が高い機能ではなく、ひとつ上の立場になります。
いちメンバーからサブリーダーへ、サブリーダーからリーダーへとプロジェクトにおいての役割はステップアップしていきます。役職があがっていくこともあるでしょう。
技術者から管理者へとシフトチェンジしていくということです。
せっかく優秀なのに現場の作業から徐々にフェードアウトしていくのです。
管理職になることによって、せっかくの「できる人」が「できない人」になるケースも多いです。
そうして現場からただでさえ少ない「できる人」は減っていきます。
技術職と管理職は全く別物なのに、同じキャリアライン上に載せるこの文化は本当に悪だと思います。
まさにピーターの法則ですね。
※ピーターの法則については先ほど紹介した以下の記事で説明しています。
損ばかりしている報われない優秀なできるプログラマやエンジニア・SEは転職する
もっと現場で色々な技術を磨きたい。大好きなプログラミングをもっとしたい。
しかし、そんな願いも叶わずに立場と役割はあがっていく一方。
中間管理職にもなれば上と下に挟まれて日々ストレスを抱えつつも、経営目線でも現場を見なくてはなりません。
加えて中小企業だとプレイングマネージャーであることも多いため、管理職をしながら現場に入って開発もするという、ものすごく給料に見合わない最悪の立場になることも多いです。
こうした不満があったり、もっと技術を磨きたいという生粋の技術者はこんなときどうすると思いますか?
そう、「転職」です。
こうして会社から「できる人」は去っていきます。
損ばかりしている報われない優秀なできるプログラマやエンジニア・SEの転職失敗
もちろん成功する人もいます。
でも現実はそんなに甘くありません。
転職自体はできるでしょう。
以下の記事でも扱っていますが、職に就くこと自体は未経験でも難しくないです。
経験者ならなおのことでしょう。
しかし、今までの会社で培ってきた経験が次でも通用するとは限りません。
会社によって文化や技術はバラバラなので、すんなりとはいかないこともあります。
前の会社で「できる人」だった人が、次の会社でも「できる人」になることは確実性が怪しいところです。
もちろん要領の良い「できる人」は、徐々に慣れていって新天地でも「できる人」になれると思います。
でも、そこで挫折してしまう人もいるんですよね。
最初は「できる人」として転職したのに、次からは「できない人」として転職を繰り返す、しまいには他業種へ進んでしまう。そんな人も少なからずいます。
まとめ 会社にいる「できる人」の質は落ちていく
では、「できる人」が転職していったら、残された現場はどうなるのでしょうか?
実は次世代の「できる人」が自然にできます。
今まで2番手3番手だった人が、勝手に繰り上がって今の現場では「できる人」になります。
そしてその人たちがいなくなったら4番手5番手、さらにその人たちがいなくなったら元々「できない人」ポジションにいた人たちも「できる人」の枠に入ってきます。
最初に比べたら同じ「できる人」でも雲泥の差が出てきますよね。
それを防ぐために、企業は中途採用を積極的に行ったり、会社としての質が落ちないように努力しています。
「できる人」と「できない人」どちらになりたいかと言われればもちろん「できる人」でしょう。
でも「できる人」になると、単に大変になるだけなことが多いので、それにやりがいを感じられる人でないとIT業界にはもしかしたら向いていないかもしれないですね。
ここのジレンマとどう戦っていくかは、永遠のテーマなのです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました。